On his way for the "Ultimate Yuzuru HANYU"
Our Japanese correspondent Aiko interviewed Yuzuru HANYU @ 2012 Finlandia Trophy.
thanks to: Finnish Figure Skating Association, Japan Sports for photos, Paja for illustrations and "Jeff's Lunge" note, N..fj for Yuzuru's smile
By AIKO SHIMAZU 島津愛子
October 6, 2012 in Espoo, Finland

羽生結弦 Yuzuru HANYU  Japan Sports
2011-12FS"Romeo and Juliet" @ Worlds


☞ in English


2012-13シーズンの初戦となったフィンランディア杯(10月5-7日・エスポー/フィンランド)優勝の2週間後、羽生結弦選手はスケートアメリカのショートで何重にも気迫を増した演技を見せ、歴代最高得点を打ち立てたかと思えば、翌日のフリーでは「集中出来なかった」と、別人のように精彩を欠き総合2位に。今日の姿が昨日とは違う、時計の針よりも早く進もうとしているような成長の日々。

その進化の束の間、フィンランディア杯のフリーが終わった後にお話を頂きました。エスポーでの結弦さんの最後の姿を留めた20分少々です。銅メダルに輝いた昨季のワールドのFS"Romeo and Juliet"の自身の演技をして「『若さ』は出せたかな」と評する17歳の向上心、どうぞお見届け下さい。


JS: まずは、皆さん御心配なさっている怪我の状態についてお聞かせ下さい。

YH: 怪我自体はまだ完治しているわけではないです。ワールド(3月)が終わってから、国別対抗戦(4月)にも全然間に合わなかったですし⋯

JS: 「右足首」の負傷とのことですが、どのような怪我でしょうか?

YH: 右足首の「捻挫」ですね。

JS: 骨は大丈夫なのですか?

YH: 骨もいっちゃってて。ちっちゃい頃にやっちゃってた(剥離)みたいなんですけど、それが常にくせみたいなかんじになってるんで⋯ でも、ごまかせる程度にはケアしています。

JS: ワールドの頃に負傷されたのでしょうか?

YH: 剥離は前からあったと思うんですよ、昨季も捻挫は結構していて、それによってダメージがあったと思うので。それが、ワールドのショートの前日の練習で、やっちゃって(損傷)

JS: 昨季の中国杯で、自分は練習から取材していたのですが、フリー公式練習(土曜日)の結弦さんのキレが、フィギュアスケートも含めあらゆるスポーツの超一流選手のキレで、それが16歳(当時)で出てて「すごいなぁ!」と感嘆していたんですけど、

YH: え〜

JS: そうでしたよ!それが、今は3割位かなぁ、と⋯

YH: うーん⋯

JS: 御自身では、今のコンディションをどう感じられていますか?

YH: 中国杯は中国杯ですごいよかった、とは思うんですけど、「それと比べて」とキレ云々を気にしてはいないですし、今回も降りたんで。(フィンランディア杯で、練習ではなかなか決まらなかった4T、4Sをフリーで決める。) そこまでコンディションは追求していなくて。今はいろんなことをやっている時期で、それよりもプログラム全体をもっともっと完成させて行かないとな!という風に思っています。


JS: カナダでの練習ですが、練習時間は変わりましたか?

YH: 練習時間は明らかに増えたな、とは思いますね。仙台のリンクは東北で一つしかないリンクで、いろんな県の方々が来られて、フィギュアだけじゃなくてホッケーやカーリングの選手も練習されていますし、なかなか貸し切りが取れない、そういう環境から、一気にフィギュアだけの環境になったんで、すごく効率がいいと思います。

JS: 練習内容は変わりましたか?

YH: 内容は、特に変化って言うほどの変化はしてないんですが、スケーティングの練習を個人的に見てもらっている(トレイシー・ウィルソンコーチ)、ということはあります。
先生が変わりましたし、それが大きな変化にはなっていますけれども、でもやっぱり、それをしっかり習得出来るかどうかというのは、自分自身の精神的な持ちようにかかっていると思いますので、しっかり強く自分を持って受け止めたいです。

JS: THE ICE(7月)ではオーサーコーチの「理想のジャンプフォーム」がハビエル・フェルナンデス選手のフォームに近い、とおっしゃっていましたね。

YH: 最初に入った時は、「ハビエルの四回転が見られる!」というのは本当にうれしいな、と思いましたし、ハビエルの四回転の確率の高さというのは是非真似したいな、と思っていましたけれども、最近は、ハビエルにはハビエルのフォームがあるし、「自分は自分」と。

YH: 僕自身のフォームは、いろんな選手の良いところだとか、または自分が「これいいな」とか「こうしてみようかな」と思ったのを、どんどんどんどん継ぎ足して行って作ったやつなんで、そんなに毎回同じフォームにこだわってるわけではないです。だからこそ、試合ごとに毎回違うフォームでもあるし、

JS: !?

YH: (笑) そんなに⋯ 目に見えて出来るものではないですけれども、意識する点とかは結構違えてやっています。

JS: こちらでもフェルナンデス選手と一緒にオーサーコーチの指導を受けられていましたが、練習を見ていたら、どっちかが指導されている場合、どっちかがスーッといなくなる、みたいに、うまく連携しているなぁ、と思って。

YH: そうでもないですよ。(笑)

JS: (笑) いえいえ、流れるように。

YH: 今までこういうことがなかったので、難しいっちゃあ難しいです。

JS: 今回のフィンランディア杯のお話ですが、四回転の反復練習の合間に、ローテーションで締めずに回られていましたね。

YH: 二回転ですね。四回転の腕の振りだとかをイメージしながら「軸をしっかり作る」練習です。

JS: ドリームズオンアイス(DOI 6月)では「後半に四回転を入れる練習をしている」とお話しでしたが。

YH: 疲れてる状態で飛べるようにしたい、と。やっぱりハビエルが飛んでた(FS後半に3本目の四回転となる4Tを構成)し、それはいつかはやんなきゃ!⋯いけないんじゃないかな、(笑) とは思います。


羽生結弦 Yuzuru HANYU  Paja
2012-13SP"Parisienne Walkways" @ Finlandia Trophy


JS: SP"Parisienne Walkways"はジェフリー・バトルさんの振付で、結弦さんのさらに長くなった手足を印象的に魅せるムーヴが満載ですね。

YH: ジェフリー・バトルさん自体がすごく手足が長くて、手、肩、すべての体の使い方がすごくうまいスケーターなんで、ジェフの演技だとかプログラムを振り付けてもらった時のイメージをしっかりと自分の中に入れてやりたい、と思ってやっています。

JS: ルッツ(後半の3Lz-3T)の前に足を前後に広げて後ろ向きにスィーーーーッと入られているのですが、

YH: ハイハイハイ。(笑)

JS: その(Moves In Field)名前が分からないんですけど、

YH: 「ランジ(Lunge)」。ランジの特殊バージョンで。あの技自体は初めてやったんで、僕自身⋯ っていうか、誰も多分やってないと思うんですけど、

JS: 後ろ向きでは!前向きは結構見ますが、

YH: そうですね、前向きで、普通だと(後ろ)足の内側のくるぶしがくっついてる。

JS: ⋯

YH: (やって見せて下さる結弦さん)こうなってる(内側に倒れる)のが、こっち(外側に倒れる)になってて。

JS: そうだ、ソレは見ない!

YH: ソレはジェフリーといろいろ研究して作り出した、という。(笑) そんなかんじですね。

JS: 自分は、ソレからの3Lz-3Tというあのシークエンスがカッコイイな!と思って、ショートの練習のリポートで、「見物です!」とお伝えしたのですが、⋯本番ではやられていましたか?

YH: 一応、ちょっとやったんですけど、

JS: 練習ほど深く長くなくて⋯

YH: 結構足に来てて、4Tもミスってたんで、「こっからミスれないな」と。

JS: フルver.は、今後の試合で乞う御期待ですね!

JS: あと、「へ」の字になってるのもカッコイイんですけど、度が過ぎるイナバウアーなのか⋯

YH: ??(笑)

JS: 深く長く沈んで、今度は横に滑ってるんですよ、

YH: あー、アレ?ステップの中のやつ?

JS: アレです!

YH: アレもジェフリーがお気に入り*で。(笑) 自分の中で、「新しい」という感じがします。
(*現役時代の御自身の2003-2004SP"Take Five"やブランドン・ムロズ選手の昨季のSP"Mack the Knife"の振付にもこのポジションが入っています。)

JS: アレは、イナバウアーなんですか?

YH: いえ、アレも変則の「ランジ」かな、と。普通は(ランジに入る結弦さん)こっち側(内側)に倒してるんだけど、それを縦にして(靴のかかとをつけるように)横に滑って。⋯いろんな技があって、名前付けられないですよね。(笑)

JS: アレもこちらのお客さんに大ウケでしたし、スピンの音楽表現!「ジェフの言う通りに」って、

YH: (笑) まだ、出来ないです!

JS: あれ以上ですか?

YH: もっとやんないとだめだなぁ、って。(笑)

JS: 緻密ですよね、1ポジションからも工夫があって!細っかい!

YH: ハイ!⋯でも、それが自分の特徴にもなってますし、「スピンでも点が取れる」と。そういうところ(スピンのGOE要件[8]"音楽表現 element matched to the musical structure")でしっかりとジャッジにアピール出来れば、と思っています。

JS: それから、このプログラムでは、「シブイ兄さんになったなぁ」って、

YH: (笑) それ、ファンの方からも言われましたよ。(笑)

JS: 誰しも思われるんですよ!

YH: 別に「渋さ」を求めているわけでもないですし、ただ、「幼さ」も出してはいけない。かと言って、とびきり幼い自分から大人の自分まで持って行けるか、って言ったら、持って行けてないと思うんですよ、

JS: 大人ですよ!

YH: (笑) ⋯だから、いろんなことを試行錯誤していろんな人の演技を見たりして。アイスショーではたくさんの熟練のスケーター、それこそフィリップ・キャンデロロさんとか、そういった先輩方の演技を見て来たんで、そういう雰囲気を自分の中で少しずつでも消化して行ければな、と思います。

JS: ⋯大人の雰囲気ですよ!昨季のファンタジーオンアイス新潟(約1年前)で初めて取材させて頂いたのですが(震災復興に向けての記事"Remember")、もちろん当時も大人でしたが、今はより一段とステージ上げた兄さんになられていますよ!

YH: (笑) あん時はね、結構ボロボロだったんで⋯ (笑顔で話される結弦さん)でも、やっぱりあれからすごいがんばって来たし、 「あの震災があって、いろんなことも経験させて頂いたので。」そう今は思えるので。「がんばって来てよかったな」と思っています。


JS: フリー("Norte Dame de Paris")、

YH: フリーはね、「死んだ!」(笑)
(フィンランディアFS演技後、ノックアウト状態でしばらく寝転がる。)

JS: (笑)

YH: とりあえずほんとに体力がなくて。今はそんなにコンディションもよくないんですけども、それよりもまず、プログラムとして「まだジャンプだけしか出来ていない」かんじ。スケートアメリカまでほんっとにもう、少ししかないし、ブライアンにも「run-through(曲かけでの通し練習)しようね!」って言われて⋯ いやなんですけど。(笑)

JS: いやなんですね。(笑)

YH: いやなんですけど、がんばります!

JS: それをがんばっている、「魂投げ打ってる」感が、皆さんの Yuzuru HANYU のイメージで、だからここでも、お客さんはそこにスタオベなんですよ!

YH: (笑) デイビッド(振付のウィルソンさん)がせっかく創り出してくれた世界、その物語の中で、まだ自分だけが音楽に乗り切れてない、物語に入り切れてない、感情を出し切れてない。いろんな部分で納得行ってないところがたくさんあるんですよ。技術的にも、スピンステップもまだ全然出来てないと思うんですけれど。もっともっと感情を出せるように!精一杯やって行きたいと思います。

JS: その"Norte Dame de Paris"の「世界」ですけれども、どういうイメージで演じられていますか?

YH: 最初は、すごい暗いような重いような曲じゃないですか、それでイメージと言うか「テーマ」としているのは、自分の中の「男らしさ」。曲が後半に向けて盛り上がって柔らかくなって行く、そこで確かに 柔らかく綺麗に表現するんだけれども、その中でも「芯は通ってる」。芯にはしっかりとした「男」がある。⋯っていうような感じが、自分の中でのイメージです。


羽生結弦 Yuzuru HANYU  Paja
2012-13FS"Norte Dame de Paris" @ Finlandia Trophy


JS: EX"Hello, I Love You"では、「Tシャツ脱いで投げるくだりをやり切りたい」って、

YH: (笑)

JS: DOIでは「かっこよくしたい」って、そうおっしゃっていたのに、プリンスアイスワールド(PIW)の東京公演(7月)を拝見したんですけど、そこでは御中元みたいに「よろしければ⋯」とお客さんに手渡されていましたよ⋯

YH: (笑) 違う!あれは、多分(ジャンプを)ミスってたからだと思うんで。(笑) 自分の演技に納得した上で「かっこよく」投げられたら、と思います。

JS: じゃあ、かっこよく投げる、ロックスター投げ継続で。

YH: ハイ!


JS: 今大会(2012年フィンランディア杯)優勝の今のお気持ちをお願いします。

YH: まだ他の選手の演技を見られていないので、なんとも言えないんですけど、ただ、リチャードが四回転を降りたんだろう、ハビエルも降りたんだろう、ですよね?

JS: 降りました降りました。
(フリーで、総合2位のリチャード・ドーンブッシュ選手は4T-2T、3位のフェルナンデス選手は4T-3Tを決める。)

YH: そういう熾烈な戦いの中、このシーズン初戦で優勝出来たのはいいステップになったかなぁ、とは思っています。ただ、課題がいくつも残ってるんで、そこをしっかりと消化し切れるようにしたいなぁ、と。

YH: 次の試合のスケートアメリカでは、これ(フィンランディア杯)以上の演技。スケーティングだとかもしっかりとやって行かないとな、と思ってます。

JS: 結弦さんは、この試合はこうする、というようなシーズン全体を踏まえてのプランを持って臨まれていますか?

YH: 「次の試合はコイツ絶対決める!」とかは思ってます。「何を絶対やる」というような。なにがどうなろうとも、たとえ疲れてても、「このジャンプだけは」「このステップだけは」というキメがあります。自分の中では。それが、全日本の時の3Sでしたね。

JS: あー、(FS最後のジャンプとなる3Sがシングルに。前の試合のGPFでも失敗していた。)

YH: だからそれがすごい悔しかったんですけど、あれはあれでいい経験になりましたし、「絶対決めるぞ!」と思ったら、決めるようにしないとな、と思います。
(練習でも、四回転の反復練習でどんなに手こずっていても、いつも最後の一本で決める羽生結弦選手。)

YH: 昨季を振り返ると、中国杯では、「四回転しか飛べなかった」という思い。FS後半の3Aをしくじった、っていうのがほんとに久しぶりだったんで、それを踏まえて、その次のロシア杯は、「四回転だけじゃなくて他の部分でもしっかりカバー出来るように」と。次のファイナル(GPF)では、ロシアで四回転ミスってたから、「じゃあ4Tも付けなきゃ!」と。で、全日本はサルコウで、その後のワールドが集大成、ってかんじでした。今年もいろんな課題を消化して行ければ、と思っています。

JS: THE ICEでは今季の抱負として「究極の羽生結弦」を目指すとお話でしたが、「究極の羽生結弦」とはどういうスケーターでしょう?

YH: 「ジャンプ飛べてスピン回れて表現出来る人」です!やっぱり、「なんでも出来る人」じゃないとイヤなんで!

JS: パトリック・チャン選手が、ワールドのメダリスト会見で、「Yuzuruみたいな弾けたスケートが出来なかった」と評されていましたよ。Yuzuruのスケートは弾けてる、って。

YH: (照) ⋯うーん⋯ 「若さ」は出せたかな、とは思うんですけど。それはそれで、よかった点だったんですけど、今年は今年で違った点を手にしなきゃいけないな!という風に思います。


羽生結弦 Yuzuru HANYU  Japan Sports
2012-13EX"Hello, I Love You" @ PIW


(時間切れで、Japan Skates Interview 恒例のビデオメッセージが頂けませんでした。申し訳ございません。)

☞ "Remember" Shizuka ARAKAWA - Nobunari ODA - Fumie SUGURI - Yuzuru HANYU - Daisuke TAKAHASHI 東日本大震災を『忘れない』

☞ "Backstage" with Japan Skates 試合やショーの囲み取材のインタビューもございます。


羽生結弦 Yuzuru HANYU  N..fj
Yuzuru HANYU @ 2012 Finlandia Trophy